55 雷火豊
中天の太陽が震、草を伸び切らせ、返って暗く成ってしまう ……… 高度成長の頃の日本社会のようですね。
『 豊 』とは穀物が結実した象( かたち )。
前卦の帰妹で求めあった結果の妊娠とも見る。
王座維持の困難。横綱の苦労。衰微する帝国。暗黒の真昼。
豊かな時には何が欠乏するか?
秋、収穫の時。冬に備えて急げ。
学問・芸術には実りの大吉。
下っ端が
豊かな王に 会いに行き
心合わして 進み行くなり
それでも「 分は越えるな 」と言う事です。
豊かなる 智慧もて愚王に
近づくに
二つの労苦 心せよ
嫌疑受く難 蒙ひらく労
中天の太陽が震、草を伸び切らせ、返って暗く成ってしまう ……… 高度成長の頃の日本社会のようですね。ついに日中に北斗七星を見るほど ……… つまり、真昼間から暴行や虐殺が行われるほどに腐敗した社会を立て直そうとする下卦、離の主爻の二爻のお話です。
嫌疑受く難 蒙ひらく労 ……… そしてこの二つのタイミングと兼合いですね。原典では「 まことありて発若たれば吉。」嫌疑も蒙も吹き飛ばす誠意と意欲、また、それだけのビジョンがなければ、じっとしていた方が良いかも知れません。
占断としては、見通しが悪い事。やり過ぎて草を繁茂させ、返って闇を作る事のイメージを適用します。
以上が多少加筆した今までの解釈の全文。しかし現在、会社も学級もあらゆる集団がブラックに成ってしまい、この問題には切迫している人が少なくないと思うので、多少書いて置きます。
『 莊子 』内篇 第四 人間世( じんかんせい )篇 1 ~ 6 に、この問題への一つの回答が示されています。
ブラックな集団で生きるには?をご覧下さい。
午後三時 星も豊かに 見える時
頼みも暗く 引くほかはなし
離の陽光に震の草が繁茂し、その影では返って暗くなる。高度成長期の日本を思わせる。「 日中に星を見るほど 」 とは、真昼間から虐殺や暴行が行われるほど暗い世の中という事。
「 頼みも暗く 」 とは、応爻の六爻は、むしろ離の極で、共に何かをするような相手ではない。原典に『 右肘を折る 』とあり、これは仕事が出来ないという事。
世に暗き 王に仕える大臣は
豊かな智慧もつ 下に聞くべし
( 吉 )
愚王は絶望的な命令ばかりくだし、人々は犬のようにその通りに服従してしまいます。これが、独裁者の超能力です。
「 下に聞くべし 」 原典では特に、『 その夷主( 同僚 )に遭う吉は、行けばなり 』とあり、行かなければ今のままです。
暗君も 才豊かなる 賢人を
護し使うなら 明に栄える
ろくに目も 見えぬ上様
豊かなる
お城にこもり 愚をみがきゆく
( 大凶 )
最上位の六爻。
独裁者、つまり上位者を喪失した者は、絶対に正常な意識を維持する事は出来ません。
常識では考えられないような、強烈な退行現象を起こします。これに例外はありません。
これには『 必ずそう成ると知っておく 』のが一つ。
そして『 そのような状態に自分を置かない 』と、常々気を付けておく事です。
それにはNo.2を維持するのもいいでしょう。便所掃除、ゴミ集めなど、わざわざするのもお勧めです。要は意識の全体性を保つため、自分を集団のアタマの部分だけに特化しない事です。