伝説の『遠地津波』
最近、思い出す事があります。
1960' 5/23 AM4時すぎ(日本時間)。チリ南部でM9.5という、観測史上最大の超巨大地震が発生。
これによって生じた津波は平均時速750kmという高速で太平洋を横断。
22時間半後の午前3時ごろに日本列島の沿岸に到達。
範囲は北海道から沖縄まで。
三陸海岸で8m越え、各地で1~5m程度。
当時、この地震による日本への影響はないと思われていましたが、下で紹介するページなどの記録によると、
「 津波は発生から15時間後、日本到達7時間前にハワイ島に到達し、死者61人などの被害を引き起こしており,その情報は米軍を通じて伝えられていたのですが,警報が出されたのは津波が日本に到達し、各地から潮位の異常変化が報告されてきてからのことでした。」
ほとんど無防備状態 ………
津波が来る前には大きく潮が引く事があります。
震源地が遠い場合は特にそうです。
海岸線では普段、とても行けないような沖合まで潮が引き、みんな珍しがって貝や魚を拾いに行き、そして波にさらわれたのでした。
とにかく全く揺れていないので、油断したのでしょう ………
寝耳に水でした。全国で、
死者139人。( ハワイの倍以上。)住家の流失は、
全壊 2,830棟
半壊 2,183棟
浸水 37,195棟
今度は死者ゼロを目指したいものです。
いくらなんでもM9.5という事はないでしょうが、それは判りません。「 あそこは広いプレートが大きく動いた事がある 」訳ですから。
そして1960年よりも、人も船舶も密集していましょう。
また、遠地地震はチリ沖とは限りません。
遠地地震の特徴は、
○ 到達までに長い余裕時間がある。
○ 波動の周期が長い。( 長周期地震動に警戒を要する。)
○ 長時間継続する。( つまりなかなか波が引かず、満ち続ける。)
とあります。
太平洋は中央が浅く、津波は両脇に広がるのでハワイはまだマシで、再び日本列島へと集約され、返って効果的に届く訳です。散ったと思ったら、また集まって来る。フェイントです。これは『 レンズ効果 』と呼ばれ、この地震で初めて判りました。
以上の事は1970年代まではよく語られていました。
私が小さい頃、幼稚園でも小学校でも、よくこの話は聞かされ、誰もが知っていました。
「 海にいて、急に潮が引いたら、すぐに逃げるのですよ。」と教えられていました。
しかし今では、
「 遠地津波? なんだそれは?」
という人も多くなって来たと思います。
これは危険な状態です。
忘れてるんです。忘れたら起こるんだそうです。
拡散希望です。
しばしば語られねば、忘れてしまいます。沿岸部に限らず、船舶などは即座に対応せねばなりません。
阪神大震災の時、自称超能力者や自称占い師達が口を揃えて、
「 まったく思いがけなかった。」
と、正直に言ったのです。私もでした。これは、
「 あまりに大きな事は、返って目に入らない、反応できないのではないか?」
と思っていましたが、
『 天災は 忘れた頃に やって来る 』
という寺田寅彦氏の名言の真意は、
「 無意識は意図的に大きな変動や、絶対に嫌な事からは、意識の目を閉ざすのではないか?」
と考えるように成りました。これは正常化バイアスというより、正常な意識を保つための、無意識の防衛的な反応かも知れません。
『 無意識の全知全能性 』というのは、昔から真面目な学者の間でも、言外に当然としている事が多かったのです。キリスト教文化圏の人達なら、
「 神を信ぜよ。まことに汝らに告ぐ、人もしこの山に、「 移りて海に入れ 」 と言ふとも、その言ふところ必ず成るべしと信じて心に疑はずば、そのように成るべし。
このゆえに汝らに告ぐ、すべて祈りて願ふ事は、すでに得たりと信ぜよ。さらば得べし。」( 新約聖書 マルコ 11章 22-24節 )
という聖句を子供の頃から知っているでしょうし、これはキリスト教に限った発想でもありますまい。
例えば、私は兄Bが死んだ時、さまざまな前兆があり、第三者から見ればすぐ判ったろうに、家族全員が一切、気付かなかったという事がありました。
とにかくいま地震が多く、我々は、「 この地震はプレート境界の上か? 外れていたら当面は大丈夫だろう。」などと言っていますが、遠い海外の地震だからといって、安心とも言えない、気を抜けないという事です。
各地の津波の高さの記録は、
このページ 『 自然災害情報室 』
などにあります。