初爻から四爻まで

 まあ、一応のご参考までに。あまり使われていない漢字は、平仮名にしました。

   初爻
 かたむるに黄牛の革を用いる。
 (改革の足場たる、自己を固めるべき時。大地に深く根付いた着実な歩みの、牛の革を用いてかたくく縛るように。)

   二爻
 己日にしてすなわちこれをあらたむ。ゆけば吉。咎なし。
 (絶頂を実感した時は、それが過ぎ去った後である。この時に新しい展開の萌芽がある。これが、最善・唯一の変革の時である。この流れに乗って吉。まっすぐに進んで行ける。)

   三爻
 ゆけば凶。ただしけれど、あやうし。革の言、三たびりて、まことあり。
 (時期も内容もよい。天の時、地の利よくて、人の和がない。今までの事を変更すると言うのだから、誰でも難色を示す。これは、改革をしようとする時の特徴、必然である。占者はこれを理解していない。だから、このまま行けば凶。
 改革について更に三度も論じ合い、全員に理解を徹底し、意気を盛り上げて、しかる後に断行する。そうすると、その集団は改革への意志そのものになり、一人々々が自分の役割以上の事を熱心に成し遂げ、どんな変動があっても柔軟、自然に対応、調整でき、速やかに次のサイクルに移れる。
 この爻は「上手な改革の仕方」などと言うようなものではなく、『この手順を踏まねば、改革は絶対に失敗するぞ。』と言う、厳しい警告、戒めと思う。)

   四爻
 悔いほろぶ。まことありて命を改む。吉
 (三爻から四爻、内卦から外卦に移った、内から外に出た、内にあるものを外に出したと言う事は、いよいよ改革に着手したと見るべき。
 また、六爻の『君子』、五爻の『大人』の下で働く、実務所属長、指導する立場の、一番下が四爻。
 まこと、孚。鳥が羽ではなく、を守るのがの形。生存のための改革への意志、それが「命を改む」。
 この『命』とは何か? 
 自ら(現状)の死は前提と実感するから、子孫(次の展開)を残す。それが『命を改む』だ。と、私は思います。
 世のすべての営みは、古くなって行く。新しいものを出し、次のものが取って代わる事によってのみ、あり続ける事ができる。鳥が羽ではなく爪で子を守るように、それは厳しい事、しかし最上の歓喜に満ちた事である。これが変革を美しい猛獣、虎や豹の換毛にたとえた理由の一つ。
 そうしたら、悔い亡ぶ。まっすぐに歩いて行ける。