63 水火既済きせい

卦の順番おぼえかた ………………………
このくらい、知ってるよね。( 笑 )

 しかし最後が『 未済 』( いまだ済まず )で終わるのは、まったく感慨深く、気がつきやすいのですが、『 既に済む 』が最後から二番目にある、この時に次が控えているぞというのも、良く考えたらなかなか ………

本卦( 不変爻 )

 既( すで )に済む。何もかもが完成する。下の火で上の水が暖められ、めでたい。
 全爻が正で応と比がある一種の理想。易経がこう言う良い卦に文句をつける事は、みなさんそろそろ予想がつくのではないでしょうか? そう。
 「 完成した後は、乱れ衰えるのみ 」
 ですね。これからの衰微に備え、現状維持に専念すべきで、新規に開始する事は凶です。六爻すべて、警告的です。
 「 勝って兜の緒をしめよ 」 ということわざがありますが、人生では、
 「 勝ったら兜の緒をしめよ 」 です。

 しかし変爻なし、また何かから変じてこの卦が出た場合、何もかもが整い、大々吉です。恋人達は結婚し、事業は成功し、受験には合格し、人間関係も円満です。( 変爻が出た場合、もちろん変爻の意味を取る、というより、六爻の中のその位置ですので、それぞれの意味があります。これは、初爻をご覧になれば納得できると思います。)

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63 水火既済きせい 初爻

既( すで )に川
渡る初めに 水に落ち
引き返すため 溺れずに済む

 さて、大々吉の卦というのに、最初からつまらない事を言いますね。
 これは初爻から見たら右の図の通り、前に坎、水( なやみ・苦しみ・障害 )があるからです。
 「 なるほどー! 」 ですね。易はこんな見方をするんです。
 そして三爻まで行くと、また坎がある! 更に之卦は水山蹇! これは初爻の力不足を考えて、作戦を練り直した方が良さそうです。


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63 水火既済きせい 二爻

治世には 既に能臣 出辛いが
待てば機会と 失せもの帰らん

 原典では婦人が外出用具( ペルソナ? )をなくして出てゆけないが、すぐ7日で自然に戻ってくる( あるいは新しい物を得る )。それは、中道を得ているからだという。
 ここから、「 小難で大難を避ける 」 の意が出てくる。
 「 待てば 」 とは、之卦が水天需だから。


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63 水火既済きせい 三爻

英雄も 悪を討つには 心して
三年かかる いくさ済むまで

 勝てます。しかし
 『兵(戦争)は大事(おおごと)』
 なので、戦後の疲弊を考えて、よく決断せよとの事です。まずもって、やめた方がよろしいのです。
 これは初爻の所で触れたように、三爻にとって、次の四五六爻は『 坎 』、苦悩、欠乏、貧困だからです。
 更に原典は「 小人もちうるなかれ。」才能のないものに戦争を任すな。とあり、そして人材のいない場合が多い。
 また、「 戦功あっても人物でなければ褒美にとどめ、地位を与えるな 」と言います。もっともな事であり、また、大いに注意すべき事です。


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63 水火既済きせい 四爻

夜っぴいて
既に水もる 舟の世話
怠ることなく 無事を得られん

 「 夜っぴいて 」 とは、「 夜通し、一日中。 」 の意。
 既成も四爻で頂点を過ぎ、原典には、「 美しい絹の衣が破れ、古い綿がのぞいている 」 状態と言います。終日この破れに注意し、対応して、咎なきを得ます。


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63 水火既済きせい 五爻

既に波 大きく越えて
下りゆく 
五ちそうよりも 心の手料理

 今が何かの一つの頂点( 外卦の中爻。また五爻は王位。)で、後は衰微して行きます。
 こんな時は画策や技巧を凝らし見栄を張るより、想いをリセットして初心に帰り、単純、素朴、気持ちそのまんまの方が良いのです。


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63 水火既済きせい 六爻

無残なり
既に理想の 過ぎたるは
楽園の長(おさ) 冒険し敗れる

 既成も最後の六爻。つまり、安定しているのもこれまでです。
 運期の波が終わったための衰微ですから、打つ手はありません。
 欲得を捨て、最低限の身の保全を図って下さい。


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