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風はすべてに従い、すべてを従える。
あまねく、どこにでも入ってゆく。
女性原理の山場。
優柔不断。気迷い多し。
巽も謙とともに「へりくだる」。
加藤大岳氏は『 振作作用 』とよく表現したが、何の事かというと、自ら何かをするのではなく、触媒のように働きかけ、相手の活動を促進・励起し、方向づける。情報、宣伝、マスコミのようなもの。
風ひとつ
行きつ戻りつ 卑下に過ぐ
武人の従順 あるじは信念
迷いながら行っても、たいした収穫はありません。平運。
「 卑下 」とは、自分のしなければならない事の価値を、自分の価値と取り違える事。しなければならない事は、大きく見えます。
行くなら目的に具体性をもたせ、信念に従って進めば吉。
巽順を ふたつ重ねて
へりくだり
卑屈にならぬ 芯の強さよ
巽順を みっつ重ねて 足が出る
馬脚をあらわす。従順の気持のない事がバレバレで、凶。
よく風と 王に従い 功奏す
狩りて大猟
主も客も 我も満ち足る
原典に『 三品を得る 』とある。爻数を間違う事もあり、上のようにした。「 主も客も我も 」 が、上の三品の解釈。
実際に三つのこと、「たくさんの」という意味もある。
巽の王
始めなくして 終わりあり
先んじて備え
後( のち )にも正せ
( 末吉 )
「 先んじて備え 後にも正せ 」 とは、原典『 庚に後れる事三日、先立つ事三日 』の解釈。
巽の五爻は、風( 情報 )の発信元です。
抜本的な改革や、新しい事を始めるには、このように発布する前から皆によく伝達し、繰り返し宣布し、しかるのちに発布し、発布した後からも履行状況を確認し、指導しなければ定着するものではないという事です。
49 沢火革の三爻をご覧ください。
巽順の きわみは主体 放棄して
それは従う 事でさえなし
( 凶 )