56 火山旅

本卦（ 不変爻 ）

　彖伝に曰く。旅は小しく亨る。柔・中を外に得、而（ しこうし ）て剛に願う。止まりて明に麗（ つ ）く。是（ これ ）を以て小しく亨る。旅は貞にして吉なるなり。旅の時義、大いなるかな。

　孤独な旅人。旅は孤独で不安、不自由、不安定。
　人生を旅にたとえたような卦。旅の孤独と不安に耐える強さがある。
　風火家人で内にあった火が、艮門の外に出、これを旅としたが、明るさが外に出るという暗示がある。
　旅中には家という後ろ盾がない。頼るべきは我が身一つ。だから大きな事は言えない。貞にせざるを得ない。剛なる強い者にすがり、泊まれる所に止まって賢明な人に麗（ つ ）き従う。これを以（ もっ ）て小しく亨る。
　また、旅する時のように、依るべない寂しい気持で、物事を観察し、同志を探し、ビジネスを展開するなどの目的を果たし、どこまでやれるか試される時期。諸国武者修行のように大いに自己を鍛え、成長すべき時。旅の時の意義は、なんと大きなものであろう。

　運期は以上の通りで、安定を欠いた衰運。三爻に代表される火難、旅の孤独による色難。離の象意で文書、官庁のトラブルに注意。また、住居、人間関係の孤独について苦労がある。
　学問・芸術・宗教関係には本の山を渉猟し、各地をめぐり調査し、霊感を得る。内の火を外に出す。新しい世界を求めての、良い日旅立ちの大吉。
　旅行・移転等はそのままの卦だから吉。しかし精神的なもので、吉凶は別。
　事業・願い事は時期ではない。当然、新規のものや拡張は控える。ただ旅行関係、外交やブローカー的なものは見込みがある。
　恋愛・結婚は、孤独によってのみ結ばれた場合が多く、内情は結婚を成立させる要素がない場合がある。長くやって行ける相手かどうか、もう一度よく見直す必要があり、その上で進むなら、愛情による努力で切り拓いて行って下さい。
　交渉・談判・取引は、相手が火で勢いが強く、一切言う事を聞きません。断念するか、仕方のない場合は、相手の言いなりに成るかです。
　病気・胎児は旅人の如く、状態が不安定です。色難の意から、情交が過ぎて変調の暗示もありますのでご注意を。
　家出人・紛失物も、転々と場所を変え、遅れるに従って、見つかり難くなります。
　待つ事もすぐには無理でしょう。離の象意から、文書・手紙はありそうです。
　天候も不安定で、一日の天気として見ると、内卦の艮の曇天から、外卦の火で晴れると見ます。

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56 火山旅 初爻

　貧乏人のババつかみ。抜け出すには広い視野と中・長期的展望で。

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56 火山旅 二爻

　人生には労苦は尽きず、死さえも新しい生への旅立ちかも知れません。
　しかし人生には一瞬、すべての労苦から解き放たれ、広く眺望が開ける時があります。受験に合格したとか、結婚したとか、事業に成功したとか　………
　この爻はそんな一瞬の輝きです。
　「部下と宝」、中国流の表現では『官と財』でしょう。

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56 火山旅 三爻

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56 火山旅 四爻

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56 火山旅 五爻

　最初ははずれるが、あきらめず次々打てば当たる。

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56 火山旅 六爻