49 沢火革
革命 変化 変革は、人々に信じてもらえて、はじめて成功する。何故この卦が『 革 』かと言うと、( 沢のたまった )水に、熱を加えるからでしょう。火と水で激しいものです。
原典では、毛皮を革( かわ )にする大変な工程、また、秋になって動物が紅葉のように美しく冬へと衣替えする様子にたとえています。
改革とは、本来ある姿を掘り起こすもの、状況の変化により、内側から現れるものという事でしょうか。
「 君子豹変 」とは、君子はあざやかにすべてを変革する。と言う意味ではないか? ……… 『エッセイ』の『 君子豹変 』を、ご参照ください。
原典
天地革まって 四時成る
湯武 命を革( あらた )めて
天に順って 人に応ず
革の時 大いなるかな
( 天地の革まる事が、四季の安定である。
今の季節が革まるから、天地はそのままでいられる。
現在の均衡を崩してまで進歩、革新する目的は、実は、調和、安定、存続である。
殷の湯王も周の武王も、天 ……… 本当に混じりっけのない、自己の最内奥の自己自身の ……… 声に随順し、それをもって人、周囲や時代に対応したから、長い悲惨な世の中を、変革して終わらせる事が出来た。
彼らの魂も、それでやっと安らぐ事が出来た。
革の時は、人々の生存への意志と、聖者の魂が噛み合った時。偉大な瞬間である。
革の時は、世界がその姿をとどめるために、すべてを刷新する時。天地の営みである。)
変革は これから始まる
今は待て
変革の『 機運 』が熟しておりません。変革には大変な下準備が必要です。今のうちに準備を進めておきましょう。
原典
かたむるに黄牛の革を用いる。
( 改革の足場たる、自己を固めるべき時。大地に深く根付いた着実な歩みの、牛の革を用いて固く縛るように。)
大局と 世論見通す 両の目で
悪の衰え 待ちて革せよ
「 大局 」 とは、天の時、問題としているものの構成要素の大きな流れ。
「 世論 」 とは、人の和。
「 悪 」 とは、改革のマイナス要因。
原典
己日にしてすなわちこれを革( あらた )む。ゆけば吉。咎なし。
( 絶頂を実感した時は、それが過ぎ去った後である。この時に必ず新しい展開の萌芽がある。
これが、最善・唯一の変革の時である。この流れに乗って吉。まっすぐに進んで行ける。)
革すべき とき満つれども
危うけれ
三度衆議し 固めて進めよ
この句はほぼ、原典のまんま。改革者は、常に疑いの目で見られます。人は乗りません。改革の必要性や要点を、しつこいほど宣布し、疑問をしらみつぶしに説得し、始めて成功します。世論に押される格好を演出するのも、一手でしょう。
原典
ゆけば凶。
時期も内容もよい。天の時、地の利よくて、人の和がない。
今までの事を変更するというのだから、誰でも難色を示す。これは、改革をしようとする時の特徴、必然である。占者はこれを理解していない。だから、このまま行けば凶。
改革について更に三度も論じ合い、全員に理解を徹底し、意気を盛り上げて、しかる後に断行する。そうすると、その集団は改革への意志そのものになり、一人ひとりが自分の役割以上の事を熱心に成し遂げ、どんな変動があっても柔軟、自然に対応、調整でき、速やかに次のサイクルに移れる。
この爻は「 上手な改革の仕方 」などというものではなく、
『 この手順を踏まねば、改革は絶対に失敗するぞ。』
という、厳しい警告、戒めと思われる。)
改革を 成功させる 四つとは
勇気 慎重 人望 信念
この句も、ほぼ原典の通りです。困難ですが、大いに吉です。
原典
悔いほろぶ。
( 三爻から四爻、内卦から外卦に移った、内から外に出た、内にあるものを外に出したという事は、いよいよ改革に着手したと見るべき。
また、六爻の『 君子 』、五爻の『 大人 』の下で働く、実務所属長。指導する立場の、一番下が四爻。
まこと、孚。鳥が羽ではなく、爪で子を守るのが孚の形。生存のための改革への意志、それが「命を改む」。
この『 命 』とは何か?
自ら( 現状 )の死は前提と実感するから、子孫( 次の展開 )を残す。それが『 命を改む 』だ。と思います。
世のすべての営みは、古くなって行く。新しいものを出し、次のものが取って代わる事によってのみ、あり続ける事ができる。鳥が羽ではなく爪で子を守るように、それは厳しい事。しかし最上の歓喜に満ちた事でもある。これが変革を美しい猛獣、虎や豹の換毛にたとえた理由の一つ。
そうしたら、悔い亡ぶ。( 後悔しないですむ。善、生存へと )まっすぐに歩いて行ける。
革の王 大人虎変 あざやかに
占う前に 吉の上なり
「 大人( たいじん )」とは、君子より一段上の呼称。改革の主導者。
改革も 終われば特に
やる事なし
君子豹変 小人革面
君子は換毛期の豹が毛皮を革めるように、木々が秋に紅葉するように、あざやかに全てを革める。これに対し、小人革面( しょうじんかくめん )。
小人、矮小な人間は、面( つら )だけを革( あらた )める。最初から主体性などなく、そんな事は気にしてもいない。問題には興味がない。