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孤独の危うさ。『 夬 』に氵をつけたら、『 決 』。
彖伝に『 夬は決なり 』とあり、『 決し去る 』の意。
沢、は上の一陰が出入り口。下の二陽が水の象( かたち )。( 私は長い間、二陽の上に一陰の水が溜まっていると思っていました。)下卦を合わせて見ると、下からどんどん水が溜まって来て、『 いよいよ決壊 』というイメージです。
下々から非難が上がってきて、六爻ですから高位高官の陰( 小人、悪者 )を決し去る。
つまり外見は五陽でよろしくも、内実は争議ありとする。
しかし、結論が出る前に改めるべき。方法は陽( 剛強 )を一つひとつ抑え、陰( 従順、温厚 )に変え、雷天大壮 → 地天泰を目指す。
だから運期や事業は、実力以上のものに噛み付いたり、勢いや立場をたのんで性急に事を運び失敗する。
縁談・恋愛は、お互いのわがままでケンカが多く、沢の「 中途挫折 」の象意から、成し遂げにくい。しかし出産は、だんだんに満ちて奔出間近だから吉。もちろん早期の占では流産に注意と見る。
いさみ足 勝てぬ戦に
甲斐(夬)はなし
善のためなら 必勝を期せ
厳戒に(夬二)
暮れても励み 敵を討つ
夜襲受けても じき蹴散らすぞ
討つ時は 顔には出さず
飄々( ひょうひょう )と
味方さん(三)ざん
懐(夬)疑するほど
進み得ず おられもせぬに
聞きもせず
立場を解し(夬四) 後に従え
進む事も現状維持もできないくせに、忠告を聞こうともしない。
羊を追うように、物事を自由に歩かせて、後ろからついて行くと良い。
暖かく 包むべきをも
斬らんとす
悔悟(夬五)すべきは
わが身なりけり
「 悔悟 」 かいご。文字通り、悔い悟る事。
何故、斬ろうとしたか? それは、彼が自分の中にある許せぬ部分を、体現していたからである。
独裁者 怒号のこだま
返り来て
答える者は
皆無(夬六)なりけり