34 雷天大壮
盛運期の注意事項。
調子に乗ってやりすぎて失敗する。
天の下で猛り狂う雷。
自分の心のじゃじゃ馬ならし。
たいそうな 理念に燃えて
進み行き
一人苦しむなら まだ良いのだが
理念も人々の幸福もぶち壊さんよう、お気をつけ下さい。
(二)普通なら
調子に乗って 先走る
ところ とどまる 壮士なりけり
最壮期 君子は破れを 整えて
馬鹿はそのまま 壁に突っ込む
実際、酒タバコやめるような事でも、ストレスまみれの時ではうまく行きません。調子が良くなった時でないと、そんな事はやる気も起きません。
えらい人は盛運の時、悪習を改め、「新しいソフトを使えるようにしておこうか。」などと、少しでも向上し、それが後の平運期を盛運にし、凶運期を散らします。
しかしたいていの人は少し好調と見れば過分に突進し、その後こまった事に成ります。なんか、自分の人生のこと言われてるような………
よんどころ なき 壁さえも
打ち破り
進み行けるは 冷静の壮
「 よんどころない 」とは、「 やむを得ない。仕方がない。 」の意。
壁を打ち破れるのは、勢いとともに冷静さも強いから。
(五)いつにしか 壮も盛りを
過ぎたれば
咎( とが )もなければ
得るもなきなり
強弩の末勢 薄絹に
絡( から )み付きおる 大壮に
無理に進んだ傲慢な
態度あらため 咎( とが )はなし
( 吉 )
強弩「 きょうど 」。強い弓矢もその止まる寸前では、薄い絹も貫く事が出来ない ………三国志やらでよく出てくる表現ですね。
自分の資力や才能や信用などを省みず、分外の事に手を出しての辛惨で、非常に苦労する。原典では「 苦しめば吉 」と言う、現実的な訓戒。
加藤大岳師は、易で、「 艱( なや )めばすなわち吉 」とあるときは、だいたいに於いて「 その態度を改めれば 」という意味に解してよいのですが、それを卦に当てて考へてみると、上六の陰を変ずれば火天大有となって即ち吉にいたるべく、また卦の終る所に居るので、窮まれば変ずるという易の理によって、その咎( とが )の長からざるべき兆を見る事も出来るわけであります。」と言っておられます。
また「 運気など進めば陥穽に落ち、退けば無事を保つ時であり、また辛労の中にある者も、ようやく打開の兆が萌して来る時です。」と。