山火賁


( 卦の順番おぼえかた ……… 夫婦で参加費 払って美術 )

22 山火賁さんかひ  本卦( 不変爻 )

 賁( ひ )は夕暮れの、黄金色(こがねいろ) 。装飾の奇跡。学問、芸術の爆発。


山火賁さんかひ 初爻

賁のはじめ それは飾らぬ 美しさ
車から降り 歩むごとくに

 装飾を説く賁の卦は、飾らぬ事にこだわります。道教、儒教的で、納得ですね。「 車から降りて歩く……… 」 単に飾らない事ではなく、ライフスタイル全体の事を言っているようです。それが美しいのだと。易経全体に、これは散見されます。

 プラトンは、あるとき馬に乗ったが、すぐに降りてしまった。馬に乗る人の傲慢さに染まらないよう用心するのだと言って。(『 ギリシア哲学者列伝 』三巻一章三九節 )


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山火賁さんかひ 二爻

二( ふ )りあおげ 親方の指導 美術工


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山火賁さんかひ 三爻

 内卦最上位で陽爻だから過剰、やりすぎに注意。之卦は山雷頤。賓卦は火雷噬ごう。

燦然( さんぜん )たる 瞬( またた )きの中の きらめきに
固執するなく 賁の道を行け

 爻辞、賁如。濡如。( ひじょ。じゅじょ。)永貞にして吉。
 象伝、永貞の吉は、終( つい )にこれを凌ぐなきなり。

 『 如 』とは見慣れた良く使う言葉だが、形容詞に添えて調子を助ける語としても使われる。つまり、
 内卦の最上爻。努力の継続で、自身の出来る限りの装飾を施した。よく賁( かざ )った。濡れるごとく滑らかで、しっとりしている。ついにこれを凌駕するものは出ないだろう。温厚に従順に、この努力を続けて吉。
 という程の意味でしょう。
 反対に、粉飾が多くて本質、中身が見えづらいという事もある。
 翻ってこれを現実の諸相に敷衍すると、

 願望・事業は、新規に企画するのではなく、従来通りの忍従努力を続けて、更に『 もう一押し 』すれば目標に近づける。同じ三爻だけあって、乾為天の『 終日乾々 』に似ている。

 婚姻・恋愛は『 濡如 』の語からか、色っぽさや浮気心が災いしてまとまりにくい。待ち人は、六爻が同じく陽で応がなく、すぐには来ないが、艶のある卦、爻だから、後に来る。病占では山雷頤の中に一つ陽が入って邪魔をしているので、消化器系と見る。胎児も同様に、お腹の中に一陽が出来たというので懐胎。しかし三爻は中を外し過剰、つまり無理しがちであるので、注意。

 家出人は、飾り立てた都会、きらびやかなもの、栄達に憧れての事で、失せ物は、山雷頤の意味する袋、カバン、あるいは車の中。探せる限りを探しての後に、どちらも新しいもの( 違う場所や可能性 )を疑っているので人に濡れ衣を着せないように注意。が、返って今まで探していた所の可能性が高い。いずれも後で見つかる。帰ってくる。

   PS.
 『 固執するなく 賁の道を行け 』というのは、人の手による装飾・努力の最上位という事から、確かスッタニパータの、
 『 勝ち得たものを智慧の武器をもて守れ。しかもそれに固執するなく 』
 という句から取ったもののようです。( 忘れている。)


 占例
 先日、免許の更新に行って来ました。ところが二重の勘違いをして、受付に間に合わず! いったん家に帰ると面倒臭いので、「 今日は他( ほか )の事をして、またの日に行こうか。」と考え始める。『 どうしてもしなければならない事は、出来る時にやっておく。些細な事でも、心の引っ掛かりは早くなくしておく。』のが原則です。しかし色々やる事があったので、占って見ました。
 そして得たのがこの山火賁の三爻。吉凶ではなく象徴的な答えは、判断が難しいですね。名人が凶と出ても吉と判断するのは、多くはこの象に重きを置いた場合です。主観や思い込みが入りやすく、危険でもあります。その卦が根本的にはどのような象、( かたち )であるか? そもそも吉凶はそれによって決まります。そしてさまざまな象から、その場合どれを取るか? この辺が腕と経験でしょう。あなたならどう判断しますか?
 『 新規に企画するのではなく、従来通りの忍従努力を続けて、更にもう一押し 』
 という事で、午後の部に行ってきました。おかげでこの『 占例 』が書けたという訳です。


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山火賁さんかひ 四爻

飾りなき 四( し )ろき馬 駆り 本来の
妻をめとりに 枷( かせ )を越え行く

 「 駆( か )る 」とは、走らせて、乗って、の意。


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山火賁さんかひ 五爻

五色( ごしき )の賁 それは身近な 田や畑
美しきかな 麦や稲穂は


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山火賁さんかひ 六爻

最上の 賁は いかほどに 絢爛( けんらん )か
  珠(たま)も黄金も ただ白 一色に

 装飾の道を説く山火賁は、飾らぬ事をもって最上とします。
 一輪の投入花が、大花瓶いっぱいの豪華な花にも勝る効果を持つ事があります。


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