02 坤為地
坤は大地。すべてを産み出し、全てを呑み込む。女性原理そのものの卦。『 太母 』の象意。この世とあの世との通用門。極陰の象( かたち )。
何もかも控えめ、従順にする。先だてば迷う。
男性原理による大きな能力や人格を得るためには、女性原理による長い忍従努力の時期を経ねばならない。( これはもちろん、男女同じ。)今はその時。「 産み育てるもの 」 の意から、( 特に人に対する )地味な苦労が多い時。意識を高く保てば、後々に大きく伸びる。
下働き、修行期間にある者だけではなく、特に高い立場にいる者ほど上位者を設定して、それに従わねば意識を正常に保つ事ができない。これはもう例外なく、絶対にできない。強烈な退行現象を起こします。これはほんの三、四人の集団でも、滑稽なほどその通りの場合があります。
上位者とは、例えば国家や会社全体の利益や状態であるとか、賢聖の言行であるとか、人は自我が「 かしずくもの 」がなくなれば、すぐに『 影 』を主( あるじ )にする事が観察されます。すなわち独裁者は、最も低劣で幼児的な欲望の奴隷と成ります。
占断としては、新規事業、業務拡張をすべき時ではなく、交渉、相談、縁談など相手のある事は、双方とも優柔不断、意欲に欠ける所があり、まとまりにくい。婚姻、恋愛は温厚な関係で、重卦( 上下が同じ卦 )には「 再婚の可能性、再婚に良し 」 の暗示があるが、日常的な繰り返しに飽きて大切な関係を壊さぬように。また生活に重点をおいた再婚には特に良し。待ち人、待つ事は、穏健にして変化なしと見ますが、離とともに坤は『 文書 』の意がある( 坤の大地の様子のように雑多、煩雑なものから作り出す働き )ので、便りはあるかも知れません。
失せ物は、大地に還った。( 大事な書類を燃やして灰にした時、これが出た事があります。- 泣 - )また大地のような堆積物の下にある。
巽 | 離 | 坤 |
震 | 中 | 兌 |
艮 | 坎 | 乾 |
病占では、人間を最も単純に図示すれば一本の管ですが、坤為地はまさにこの象です。すなわち消化器系。症状は嘔吐・下痢などで、O 157、腸管出血性大腸菌のような感染症の事もあります。また「 極陰 」 の卦でもありますので、いわゆる腎虚、総合的な体力低下や精神的なうつ状態で、すぐには治り難いものです。食養生や運動、ヨガなど、長期で根本的な治療を必要とし、飲酒等の体力を欠損させる習慣の排除、心配事に対する対応や姿勢を変えるなどの必要があり、生活全般を見直し、人生を変える稀な機会と捉えられたら素晴らしいと思います。
同様に出産では、そもそも「 産み育てる 」 卦ですから、まず安産でしょうが、産後の体力回復には、充分な養生をお気をつけ下さい。
坤( こん )の初は
気付かず静かに 降りる霜
氷河の兆(きざし) 冬に備えよ
六二( むに )の坤( こん )
学ばず 習わず 伸び 栄ゆ
三文( さんもん )文士を
装( よそお )うべし
至坤( しこん ) いよいよ
愚をまとえ
坤五( こんご )けだかく
世のかなめ
坤氷 極まり 竜となり
陰の道さえ 喰いつくす
用六 あまりに無為なれば
すなわち竜の 姿なり
( 用六とは、六爻すべて変爻で陰が出た場合。これも、見た事がない。滅多に出ないので、大吉とする場合が多い。前の卦、乾為天の用九をご参照ください。同じ占断です。)